いすゞと日野、国産初のハイブリッド連節バスを共同開発 路線バスで世界初の先進機能を採用

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いすゞ自動車と日野自動車は5月24日、共同開発した国産初のハイブリッド連節バス(以下、連節バス)を、両社の観光・路線バスの製造を行うジェイ・バスの宇都宮工場で公開した。

連節バスは2両連結のバスで、日本の道路事情を踏まえた車両寸法とし、ハイブリッドシステムの採用で環境負荷にも配慮。加えて、先進安全装備やITS技術も実装し、次世代のバス像を示した。

 

ボディサイズは全長17m99cm×全幅2m49.5cm×全高3m26cmで、一般的な大型路線バスの1.5倍となる定員120名の大型輸送に対応する。計3カ所ある扉は前後車室ともに有効開口幅を1m確保するとともに、フロアは前車室がフルフラット、後車室もノンステップエリアを広く確保。さらに、車いすスロープ板や対面シートも採用し、乗降性、利便性、快適性を高次元で実現した。

後車室にはゆとりのある対面式シートを採用

ハイブリッドシステムは360PSを発揮するA09Cディーゼルエンジンに、最高出力90kWのモーターを組み合わせたもので、バッテリーは7.5kWhの容量を持つニッケル水素充電池でルーフ上に搭載する。トランスミッションは7速AMT(自動変速マニュアルトランスミッション)を採用し、状況に応じて自動/手動での変速を可能とした。

先進安全装備で注目されるのが、路線バスで世界初となる「EDSS(ドライバー異常時対応システム)」。EDSSは運転士に体調不良などの異常を発生した場合、運転士自ら、または乗客がバスを停車できるもので、運転席の右側、運転席の右下、運転席後ろのポール、後車室には3箇所設置した赤いボタンを押すことで作動する。立っている乗客がいることを想定し、ボタンを押した際は停止動作に入るまで3・2秒あり、ゆっくりと減速しながら車内の赤色ランプと音声アナウンスによる警告を発し、その後クラクションを鳴らしながら停止する。また、乗客による誤操作も3・2秒間で運転士が対応してキャンセルすることも可能となっている。

さらに、路面上の誘導線をカメラで認識し、自動操舵・減速によってプラットホームに停車する「プラットホーム正着制御」(写真下)、先行車との車間距離を高精度に制御する協調型車間距離維持システムなどを採用した。

 

いすゞ自動車 バス商品企画・設計部の鈴木隆史チーフエンジニアは「大企業の通勤、大学の送迎と、限られた時間で大量の人を輸送する需要は日々高まっている。その中で、海外製ではなく国産の連節バスを求める要望を具現化したのが今回の商品」と、開発の経緯と背景を説明した。