【自工会会長定例会見】ホームプラネットを意識し、未来のモビリティ社会の発展に貢献

業界ニュース

日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は5月13日、都内で定例記者会見を行い、新時代「令和」に向けた展望を語った。また、役員体制では4月1日付で本田技研工業・御子柴寿昭会長と同・尾高和浩執行役員が理事に就任し、御子柴氏が自工会副会長に就任。さらに、同日付でいすゞ自動車・髙橋信一専務執行役員と、三菱自動車・辻昇専務執行役員が理事に就任した。

新時代令和を迎え、豊田会長は「縮小を続ける市場、度重なる自然災害の中で日本のものづくりを必死に守り抜いた30年だった」と平成時代を振り返った。東日本大震災の時、自動車業界がオールジャパンとしてとして復旧・復興に向け、心一つになれたことが、辛い思い出の中にも”良い記憶”として挙げた。

新時代令和は「ホームプラネットの視点を大切にしていきたい」と述べた。国内外で度重なる自然災害が発生し、その要因の一つに地球温暖化があり、この他にも地球規模の課題として大気汚染、エネルギー問題、さらに、交通事故などクルマの持つマイナスの面は平成で解決できなかった。さらに新時代は「マイナスの面を最小化し、便利さや楽しさといったプラスの面も拡大し、もっと笑顔になってもらうことにも引き続き取り組みたい」と語った。

また「自動車産業はこれまで、新たな環境技術開発に積極的に取り組みハイブリッド、プラグイン、燃料電池、ピュアEVと、今の日本の自動車産業はどの国よりもそれぞれの取り組みが進んでいる。環境技術を普及させ、地球という美しい故郷、ホームプラネットを守りたい。日本が世界に先駆けて行えればと願っている」と語った。

さらに、「大変革を迎えた自動車産業では、一社だけ、一産業だけの頑張りだけでは大変革を力に変えていくのは難しい。各社が競い合いながらも力を合わせ、業界を超えた他の産業とも仲間になり、国とも一体となり初めてその思いがかなえられると思う」と”オールジャパン”の重要性を説き、「日本の自動車があってよかった、ありがとうといってもらえると信じている。そうした自動車産業にしたい」と、新時代への展望を語った。

【日本自動車工業会 令和元年度重点方針】

重点方針の3本柱~“オールジャパン”での活動推進~
「ホームプラネット」の想いを意識し未来のモビリティ社会の発展に貢献

1.未来のモビリティ社会の実現
産官学・異業種との連携により、モビリティを通じた社会課題の解決・新たな価値創造に貢献する
CASEの進展を踏まえ、安全・安心、環境に優しいモビリティ社会像の具体化、及び実現に向けた必要施策の明確化

2.次世代につなぐ豊かなクルマ・バイク文化の創造
東京モーターショーや東京オリンピック・パラリンピックを活用し、次世代のクルマ・バイクファンづくりや豊かなライフスタイルの実現につなげる

①クルマ・バイクファンの育成・拡大
・クルマ・バイク好きが主役となり、楽しめる機会の提供
・テクノロジーだもたらすモビリティの新たな可能性、魅力を次世代を担う若者を中心としたファン拡大

②東京モーターショーや東京オリンピック・パラリンピックを活用した、情報発信力強化
・全ての人・モノの移動をより助け、もっと便利にするテクノロジーを通したモビリティの付加価値の提案

3.持続的発展を支えるビジネス環境の整備
国内外でのより自由で公平なビジネス環境に向けて取り組み、持続的成長に貢献

①日本経済の活性化に資する課題への適時適切な対応
・自動運転等の制度整備の推進、次世代自動車等の実用化と普及につながる活動の推進
・サプライチェーン全体への適正取引の推進など国内関係団体との連携・協力

②自由貿易の推進、グローバルなビジネス環境の改善
・ビジネス影響が大きい協定等の交渉動向に関する情報収集や政府への働きかけを推進