【車屋四六】バセロンコンスタンチンとベンツ

コラム・特集 車屋四六

前回、時計界のロールスロイスはパテクフィリップと紹介した。

今回は、自動車界の最長老ダイムラーベンツに対抗する時計界の最長老として、バセロンコンスタンチン/VCを紹介しよう。(トップ写真は、バセロンコンスタンチン1970年代のメッシュドール型、18金ホワイトゴールド・ブレスレット一体型)

最長老以外にも共通点がある。1885年/明治16年、史上初内燃機で二輪自動車を走らせたダイムラー。86年に三輪自動車を走らせたベンツが合併でダイムラーベンツ発足。

一方、時計界最長老は、1755年/宝暦5年創業のバセロンに、1819年/文政2年に優れた実業家コンスタンチンの参加で、バセロンコンスタンチン/VC社が発足した。

現存では創業1735年のブランパンが最古だが20世紀に中断時期があり、継続生産ということではVC社が世界最古である。

実は18世紀初頭まで時計の本場は英国でスイス製は安物…が、天才時計師バセロンの登場でイメージが一変する。
ちなみに、スイスでは一流職人をカビノチェと呼ぶ。伝統的にスイスの工房は、埃少なく湿気少なく自然光豊富な屋根裏部屋/カビネにあり、其処で働く職人をカビノチェと呼ぶのだ。

カビノチェは、今でも一個の時計を一人の手作業で完成というのだから、シンプルメカでも半年ほどは必要だから、高額なのもうなずけよう。その作業の中に機械加工を取り入れ、飛躍的に効率を上げたのがコンスタンチンだそうだ。

以来VCは、スイス最高級の座に君臨し、世界の王侯遺族金満家御用達。文字盤の上に誇らしげに鎮座する、憧れの紋章{マルタの十字}は1880年からのもの。

ロレックス・デイデイト、1990年頃18金イエローゴールド製と1990年頃のロレックスGMTマスターⅡステンレス製

1995年、米英仏ソ四ヶ国首脳会議がスイスジュネーブで開催された時、スイス自慢のお土産として各首脳に贈られたのがVCだった。
また同年は、パ社創立100周年で、記念として開発発表したのが、厚さ僅か1.64㎜の世界最薄ムーブメントだった。

ダイムラーベンツとバセロンコンスタンチン、両社共に業界最古の歴史を持ち、世界で高級高品質を認知され、創業者二人の名前を社名に冠しているという共通点の持ち主である。

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