歴代カーオブザイヤー受賞モデルで振り返る 平成クルマ史(その2・平成11年~平成20年)

コラム・特集

平成11年~平成20年はコンパクトカーが大きく進化。初代ヴィッツやフィットが登場し、ダウンサイジングが進んだ時代だ。一方でレクサスが国内導入されるなど高級車市場も盛り上がり、二極化が進んだのも特徴といえるだろう。

・平成11年(1999年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:トヨタ ヴィッツ/プラッツ/ファンカーゴ
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:日産 セドリック/グロリア

 

初代インサイト、S2000などもノミネートされたが、受賞したのはスターレットの実質的な後継車として登場した初代ヴィッツ。さらにそのセダン版のプラッツ、ヴィッツベースのトールワゴンであるファンカーゴもまとめての受賞となった。プリウス、アルテッツァに続き、トヨタが3連覇。

ヴィッツは突出した部分はないけれど、実用的なコンパクトカーとしてバランスの良いモデルで爆発的にヒット。クセがなく運転しやすいクルマで高い評価も納得できる。

RJCは日産セドリック/グロリア。生い立ちが違うのでセドリックは10代目、グロリアは11代目になるが、ともにこれが最終モデルとなった。売りは、3Lターボの大トルクにも対応する、世界初のトロイダルCVTの搭載。大型車もCVTの時代と騒がれたが、高価なこともあってあまり普及せず、結局大型車のトランスミッションは多段ATに向かうことになった。

 

・平成12年(2000年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:ホンダ シビック
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ シビック

ミレニアムと騒がれた年。COTY、RJCともにカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは7代目シビックで、COTYではこれが4度目の受賞。シビック強しである。その他のノミネート車は3代目セルシオ、2代目インプレッサ、初代エクストレイル、マツダ・トリビュート、ダイハツ・YRVなど。

7代目「スマートシビック」は広い室内空間が特徴で、その効率の良いパッケージングが高く評価されての受賞となったが、翌年にフィットがデビューしたことで一気に影が薄くなったモデルだ。日本のユーザーが真に求めていたのは、より小型のコンパクトカーだったということなのだろう。

 

・平成13年(2001年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:ホンダ フィット
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:ホンダ フィット

ついに21世紀に突入!その最初の受賞となったのはCOTY、RJCともに初代フィット。ホンダが2連覇、そして2年連続ダブル受賞である。

センタータンクレイアウトの採用で、コンパクトカーとは思えないほど広い室内空間を実現したことに加え、走りの良さでも当時のライバルを凌駕していた。ヴィッツ、マーチなど丸みを帯びたデザインが多かった当時のコンパクトカーの中で、シャープなスタイルとしたのも新鮮だった。

この年の主なノミネート車はV35スカイライン、エスティマ・ハイブリッド、プリメーラ、初代ekワゴン、4代目ソアラなど。実力車も多かったが、フィットの革新性には勝てなかった。

 

・平成14年(2002年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:ホンダ アコード
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:マツダ アテンザ

 

これでアコードはCOTY3回目の受賞。シビックとアコードはCOTYとの相性が良い。その他の主なノミネート車はフェアレディZ、コペン、カルディナ等。

アコードとしては7代目となるモデルで、欧州仕様と統合されて全車3ナンバーサイズ。エンジンは可変バルブタイミング・リフト機構に、可変バルブタイミング・コントロール機構を加えたi-VTECの2Lと2.4Lを搭載し、高出力と省燃費を両立させている。スポーティな走りにもこだわったプレミアムセダンとして仕立てられており、先進の快適・安全装備も充実していた。

一方、アテンザは初代モデル。カペラの実質的な後継車として登場したモデルで、ブランドフレーズ「Zoom-Zoom」が初めて採用されたモデルでもある。先代カペラからすべてを一新して開発され、特に走行性能の高さは群を抜いていた。世界的にも評価が高く、08年までにグローバルで合計132の賞を受賞したというのだから驚きだ。

 

・平成15年(2003年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:スバル レガシィ
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:マツダ RX-8

 

COTYは4代目BP/BLレガシィ。「等長等爆エキゾーストマニホールド」を採用し、性能の向上と引き換えに独特のボクサーサウンドを失なったのがこのモデルからだ。また2ステージツインターボから、シングルのツインスクロールターボへの変更、ATの5速化なども行われた。レガシィ初の3ナンバーサイズになったモデルでもあるとともに、大幅な軽量化が図られるなど、歴代レガシィの中でも変化が大きかったモデルである。

RJCはロータリーエンジンを搭載する4ドアクーペのRX-8。実質的にはRX-7の後継車といえるモデルだが、最大の特徴は観音開きの4ドアを採用したこと。これにより大人4人の乗車を可能にしているが、実際のところ後席への乗り降りは快適とは言い難かった。エンジンは新設計のロータリーエンジン13B-MSP型「RENESIS」を搭載。最高出力250psを発揮した。2012年の販売終了後は後継車はなく、今のところ最後の市販ロータリーエンジン車でもある。

 

・平成16年(2004年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:ホンダ レジェンド
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:日産 フーガ

 

この年は各社の上級セダンが勢揃い。トヨタは12代目「ゼロクラウン」、日産はセド/グロの後継として登場した「フーガ」、そしてホンダは4代目「レジェンド」である。この他にもプレミアム・コンパクトを狙ったマツダ・ベリーサもあり、全体に高級車志向であった。

また、この年は国産車の「280馬力自主規制」が解除されたのも大きな出来事だった。これにより最高出力280馬力を超えるクルマが続々と登場することになるが、その第1号となったのが、COTYを受賞したレジェンドである。搭載する3.5Lエンジンは300psを発揮、新開発の4WDシステム「SH-AWD」との組み合わせで、スポーティな走りを実現していた。

一方RJCはY50型フーガが受賞。セドリック/グロリアの後継車として登場した4ドアセダンである。剛性感を高めたボディや新開発のサスペンション、パワフルなV6の2.5L、3.5Lの搭載などにより、レジェンド同様スポーティな上級セダンという位置付けで、この辺りから現在まで続くセダンのスポーティ路線化が始まったといえるだろう。

 

・平成17年(2005年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:マツダ ロードスター
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:スズキ スイフト

 

レクサスが国内導入された年。というわけでレクサスからはGSがノミネートに入ったが、惜しくも受賞はならず。COTYはロードスター、RJCはスイフトとなった。その他のノミネート車は日産ノート、ホンダ・シビック、三菱アウトランダー等。

COTYを受賞した3代目NCロードスターは、ボディが大型化され初の3ナンバーサイズになったモデル。エンジンも2Lに拡大されてトルクに余裕が増すなど、初代・2代目に比べるとややGT寄りになったが、全体のバランスは高く、その辺りが評価されたのだろう。

一方スイフトは、世界戦略車として開発されたコンパクトカー。軽自動車の拡大版だった初代スイフトとは決別し、プラットフォームから新開発、内外装の質感、走行性能ともに格段に向上し、人気モデルとなった。

 

・平成18年(2006年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:レクサス LS460
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:三菱 i(アイ)

 

前年は受賞を逃したレクサスだったが、この年は本命のLSで受賞。一方RJCは軽自動車のi(アイ)が獲得し、最上級セダンと軽自動車に受賞車が分かれるという極端な結果になった。

レクサスLSは国内では初代となるが、グローバルでは4代目となるモデル。専用の新開発プラットフォームを採用、エンジンも新開発のV8・4.6Lを搭載し、量産乗用車初のシーケンシャルシフト付8速ATを搭載するなど、気合の入ったモデルだ。

三菱iは、エンジンをリア・ミッドシップに搭載したMR方式の軽自動車。ミッドシップにしたことで長いホイールベースと広い室内空間を実現し、斬新なデザインと相まって個性的なモデルになった。登場時の搭載エンジンはターボのみというのも異色。当時の三菱はダイムラー・クライスラーとの提携解消後の再建中であり、新生三菱を象徴する先進的なモデルという位置付けでもあった。後に純EVとした「i-MiEV(アイ・ミーブ)」も登場。こちらは現在でも販売中だ。

 

・平成19年(2007年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:ホンダ フィット
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:マツダ デミオ

 

この年のノミネート車はランエボX、インプレッサWRX、V36スカイラインと、ハイパフォーマンスなスポーティモデルが顔を揃えたが、その中で2代目フィットと3代目デミオと、ともにコンパクト・ハッチバックが受賞する結果となった。当時はコンパクトカーの進化が著しく、それが反映された格好といえるだろう。

フィットは2代連続での受賞。大ヒットした初代のコンセプトは変えず、正常進化させたものだが、新設計のシャシーを採用し、エンジンもi-VTEC化されるなど改良点は多く、大幅に実力を高めたモデルだ。

一方デミオは、極小ミニバン的な初代・2代目からコンセプトを一新し、グローバル・コンパクトに転換したモデル。先代に比べ約100kgの軽量化を図ると同時に、燃費に優れる1.3Lミラーサイクルエンジンを搭載することで、走行性能・環境性能ともに大きく向上している。

 

・平成20年(2008年)
日本カ・オブ・ザ・イヤー:トヨタ iQ
RJCカー・オブ・ザ・イヤー:スズキ ワゴンR

 

前年はコンパクトカー2モデルが受賞となったが、この年は超小型車と軽自動車が受賞。小さいクルマが脚光を浴びる年となった。

まずトヨタiQは、軽自動車よりも短い全長2985mmの超小型ボディを採用しながら4人乗車を可能にした超コンパクトモデルだ。ただし全幅は1680mmと小型車並みだから、極端なショート&ワイドの個性的なスタイリングとなった。発売と同時に注目を集めたが、価格が高いこともあって人気は長続きしなかったのは残念。超高効率パッケージの実現と極端に短いホイールベースのクルマをまっすぐ走らせるには多くの専用部品を採用せざるを得ず、低価格化は困難だったという。

ワゴンRは4代目モデル。チャレンジング過ぎたiQとは対照的に、こちらは手堅くキープコンセプトで正常進化したモデル。内外装の質感や静粛性が大幅に向上したほか、走行性能も向上しファーストカーとしても満足できる内容となっている。バランスの良さ、実用性の高さが大きく評価されての受賞といえるだろう。

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