【車屋四六】三代目カリーナの頃日本製ATは世界最高に

コラム・特集 車屋四六

1970年誕生の初代カリーナは長い寿命のあと77年に二代目に。
そして三代目で日本的常識のモデルチェンジサイクルになり、81年に二代目に進化…車種構成は、四ドアセダン&二ドアハッチバック、エンジンは1.5ℓ、1.6ℓ、1.8ℓ、2ℓの四種で、82年にターボ搭載1800GTが誕生した。(トップ写真:カリーナ1800GTターボ。ラジェーターグリルのTwinCamTurboのバッジが誇らしげだ)

その頃日本は急速にAT車が増え、普及率が四割を超え五割に近づいていた。登場したGTも、DOHC+ターボという戦闘的仕様とは裏腹に、OD付四速ATを装備していた。

MT育ちが多い当時のドライバーは「楽しさがない」とATを馬鹿にする傾向があったが、当時の日本製ATは、上手に使えばMTより早く燃費も良いという域にまで熟成していた。

この時期、日本製ATは効率面で世界最高域に達し、現在に至っている。近頃、欧州の老舗が日本製ATを採用しているが、彼等が日本のATに注目し始めたのが80年代だったようだ。

が、当時の日本メーカーは単価が高い上等なATを使いたがらなかった。その傾向は今でも続き、最上級日本製ATは、BMW、ボルボ、VWなど、一流外国車が顧客になっている。

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さて、排ガス対策で軒並み元気を失ったエンジンは、日産がターボで、トヨタはDOHC+電子制御燃料噴射で元気回復…更なるパワーアップを図り登場したのがDOHC+ターボだった。

このトヨタのDOHC+ターボは、NAの3T-EU型をDOHC化し、更にターボをドッキングで生まれた。この日本初登場の3T-GEUをカリーナGTは搭載してデビューしたものである。

当時、日産とトヨタはライバル意識丸だし…エンジン呼称さえも異なり、日産は米国流DOHCで、トヨタは英国流ツインカムだった。
その直四ツインカム1770ccは、0.52kg/cmターボで加圧して160馬力を絞り出し、21kg-mという強力なトルクを得ていた。

43D型OD付四速ATは、左足でブレーキを踏み、アクセルを踏込んでいくと1800回転あたりで一息つく、その辺でブレーキを解放すると一気に走り出し、平均的ドライバーのMTより速い加速を得ることができた。

操安性は当時の最高水準に達しており、走りの味はスポーツカーそのものだった。が、シート位置が高くアイポイントが高いことがスポーツカーらしくなかったが、反面、街中のドライビングでは取り回しが楽だった。

マツダのREを除き、排ガス対策で軒並み腑抜けになったエンジンの将来を心配したが、もう大丈夫と安堵したのがこの頃だった。

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