三菱・エクリプスクロス試乗記

試乗レポート

三菱から4年ぶりに登場した新型車が「エクリプスクロス」。久々の新型車、そしてブーム真っただ中のSUVということで多くの注目を集めている。

このエクリプスクロスの最大の特徴といえるのが、SUVクーペ調の流麗なスタイル。開発にあたってはデザインを優先したというだけあって、伸びやかなラインで構成されたフォルムは大いに魅力的だ。が、同時に高い実用性やSUVならではの悪路走破性もきっちりと備えているのが三菱らしいところ。広い室内空間、本格的な4WDシステム、トルクフルな新開発エンジンを採用し、スタイル派も実用派も納得できる充実したモデルである。

 

中でもユーティリティー面では、後席に200㎜のスライド機構を採用したのが特筆できる部分。後席を後端まで下げた状態でもラゲッジスペースは広いが、後席を前に出せばさらに荷室空間が広がり、荷物の多いアウトドアレジャーでもラクに収納することができる。後席のスライドもワンタッチでできるので実用的だ。運転席周りの小物収納も充実しており、日常の使い勝手も満足できる。

インパネのデザインなど室内空間は、奇をてらわず正攻法でまとめた印象。質感もこのクラスとしては不満のないレベルにある。シートの座り心地、ホールド感も良好。

実際に運転席に座ってみると、着座位置が高いこともあって、視界が広く車両感覚を掴みやすい。スタイルだけ見ると後方視界は悪そうだが、実際には後席ヘッドレストの位置なども工夫されており、決して良くはないが不安を感じることはない。

   

搭載するエンジンは1.5Lターボで、最高出力は150ps、最大トルクは240Nmを発揮。トルク重視のセッティングで発進時から力強く、加速が心地よい。またアクセルへの反応が自然で、ごくわずかな踏み加減にも機敏に反応するのも感心。トランスミッションは8足CVTだが、CVTにありがちなルーズさは全く感じられない。コントロールしやすく、ストレスがない。

また、コーナリング性能の高さも特筆できる部分。ボディ、足回りとも剛性感が高く、タイトなコーナーでも姿勢を崩さず、きわめて安定している。試乗車は4WD車で、高度な4WD制御を行うS-AWCを搭載しており、これも高い旋回性能の要因といえるだろう。ステアリングへの反応もクセがなく、扱いやすい。今回は市街地、ワインディング、高速道路とシチュエーションを変えて試乗してみたが、いずれのシーンでも快適なドライブを楽しむことができた。幅広いユーザーにお薦めできる実力モデルだが、特にSUVにもスポーツ性を求めるユーザーに最適なモデルだ。(鞍智誉章)

Tagged