三菱、クーペ調スタイルのクロスオーバーSUV「エクリプスクロス」試乗

試乗レポート

三菱から久々に登場する新型モデルが「エクリプスクロス」。流行のクーペ調スタイルを採用したクロスオーバーSUVで、サイズは全長4405×全幅1805×全高1685㎜。三菱SUVラインアップの中ではアウトランダーとRVRの中間に位置する。他の競合モデルと比較すると、スバルXVに比較的近いサイズだ。大き過ぎず小さ過ぎず、日常使うのに最適なボディサイズといえる。

まだ発売前ということで、今回はクローズドコースでの試乗。コースは比較的長い直線とパイロンスラローム区間、放水してウエット路面とした20Rの旋回区の組み合わせだ。比較としてアウトランダー、RVRの試乗車も用意したところに、三菱の自信を感じる。

 

まず直線区間では、力強く滑らかな加速に感心。搭載するエンジンは新開発の1.5L直噴ターボの4B40で、これに8速スポーツモード付きのCVTが組み合わされる。エンジンはトルク重視型で、最高出力120KW(163ps)/5500rpm、最大トルクは250Nm/1800-4500rpm。スペック上の値はそれほど大きくないものの、発進から十分なパワーを発揮し一気に速度が乗ってくるので、キビキビと街中から高速道路まで気持ちの良いドライブが楽しめそうだ。アクセル操作に対しての反応も素早く、CVTであることを感じさせないのも好ポイントといえるだろう。

スラロームと旋回区間は、アウトランダー、RVRとの違いがはっきりと出た。アウトランダーは安定感はあるものの全体の動きがやや鈍く、特にステアリング操作に対してやや動きが遅れる印象。RVRは速度を上げて進入すると安定感を失い、挙動が乱れてしまう。単体で見るとRVRは決して悪くないモデルだが、設計の古さは否めない。

一方エクリプスクロスは、ステアリングの操作に対して無駄な動きがなく、ごく自然にクルマが向きを変える。同じように早目の速度で進入しても、足回りはしなやかで路面を確実に捉え、安心感も高い。ウエット路面での安定感も抜群で、速度を上げて旋回しても挙動を乱すことがなく、足回りの良さに加え、S-AWCの効果の高さも体感することが出来た。さすが新世代のモデルといえるだろう。走りに関して不満を感じる部分はない。

同時に、室内の静粛性の高さや乗り心地の良さも、満足できるところ。特に室内空間ではシートの座り心地の良さが特筆できる。厚みが十分にあり、しっかりと体をホールドしてくれる。加えてクーペ調SUVでは犠牲になりがちな、後席や荷室のスペースがしっかりと確保されているのも大きなポイントだ。後席は20㎝スライドすることができ、リクライニングも可能なので、状況に応じて最適な使い方が可能だ。SUVでは乗降の際に足がぶつかることが多いサイドガーニッシュをドア側に移し、スムーズな乗降を実現するといった細かな工夫もされている。

  

さて試乗コースの一角には、4WD登坂キットも設置されていた。TVCMやイベントでもおなじみの「あれ」である。45度の傾斜を登るというもので、本来はデリカD5等のクリーンディーゼルの強大なトルクと4WDの走行性能を披露するものだ。シャモニーやアクティブギアが登場したタイミングでもあるので、デリカD5のデモを見せるのかと思ったがそうではなく、これをエクリプスクロスで登るというのだから驚いた。

本当に登れるのか、いささか疑問に感じつつも実際に乗り込んでみると、3名乗車にも関わらず、エクリプスクロスはこともなげにゆっくりと、しかし安定して頂上まで登ってしまった。助走をつけて一気に登るというのならともかく、45度の坂をじわじわと登って行けるというのは並のSUVでは真似できない。新開発エンジンの厚いトルクとS-AWC、そして20.3度のアプローチアングル、30.8度のディパーチャーアングルを持つエクリプスクロスならではといえる。

  

さらに20度の斜面を横切るキャンバー走行、高さ40センチの凸凹路面を走るモーグル走行、階段状の路面の走行も体験したが、エクリプスクロスはいずれも余裕でクリア。オンロード主体の都会派SUVというイメージのエクリプスクロスだが、実は高いオフロード走破性も持ち合わせている。格好だけのSUVとは一線を画す、まさに本格派。アウトドアレジャーの相棒としてはもちろん、積雪の多い地域でも頼もしい存在だ。

なお発売は3月の予定。登場が待ち遠しい、優れた実力モデルである。(鞍智誉章)

Tagged