【車屋四六】ギネスブックもの自動車長寿番組の終焉

コラム・特集 車屋四六

2005年4月1日の東京新聞芸能欄にTVK/テレビ神奈川の人気番組{新車情報}終焉予告が掲載された…全国13局、ケーブルTV15局などにTVKから配信された全国的人気番組だった。

4月3日が最後の新車情報の開始は1977年/昭和52年。キャスター三本和彦は、親しい仲間うちではミッちゃんと呼ばれる江戸っ子。
28年間番組の顔というのは大したもので、旭川の空港で、鹿児島の飲み屋で、沖縄で、知らない人が挨拶、握手を求め、有名になるとは大変なこと、と思ったものである。

バンコクのホテルでのこと、裕福そうな年輩夫婦が「先生ベンツSLが10年超えたので買えるか乗り続けるか迷ってます」と聞かれ「そのままのほうが良いのでは」と答えていたが、同様なことは、ロスでもアムステルダム、フランクフルトでも見掛けた。

ゴルフ場で、前の組のキャディーが戻ってきて「TVに出ている人ですか」お客様が聞いこいというので。これほど顔が売れてれば、全国区で立候補すれば当選間違い無しと思ったりした。

番組終焉を東京新聞が掲載したのは、遙か昔ミッちゃんが東京新聞写真部だったからだろうか。「誰か行ってくれないか」と写真部員を見回したあと部長が、じっと俺の顔を見るので「仕方なくベトナムの戦場取材に行ったよ」とも云っていた。

八面六臂/ハチメンロッピという言葉は正にミッちゃんに当てはまる。新聞の試乗記は日本の草分け、退社すると黒柳徹子や久米宏と名物番組の司会、TVKの新車情報はミッちゃんの企画だった。

{暮らしの手帖}のように、云いたいことが云えなくなると、あえて自動車メーカーの広告を取らず、自身でスポンサー探しに駈けまわったとも云っていた。

で、歯に衣着せぬ疑問質問を遠慮なくメーカー担当者に連発、それがミッちゃんの辛口トークとしてファンを増やしたが、迷惑なのは担当者「あの番組は緊張するんです」と云っていた。

ファンの人気に支えられて、新車情報は27年9ヶ月、歴代アシスタント12人、プロデューサー14人、通算1448回という長寿番組となったのである。

TV長寿番組ではNHKのど自慢だろうが、{新婚さんいらっしゃい}桂三枝、{笑っていいとも}タモリは同一司会者によるバラエティ番組で登録され、18年888回{銭形平次}大川橋蔵はTVドラマ部門で登録。ちなみに長寿では{水戸黄門}の34年だが、主役が月形竜之介→西村晃→東野英治郎→杉良太郎→里見浩太朗と繋いだので同一人物ではない。

とにかく新車情報の27年9ヶ月は同一人物による番組としては世界最長寿番組なのだからギネスに申請すべきだ。
日本のファンも喜ぶだろう。派手がましいことを嫌うミッちゃんだから、ここは一つTVKに一肌脱いで欲しいものである。
面倒なことを今さらというと云うかもしれないが、勲章が一つ増えれば、局の財産にもなると思うのだが。

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