【車屋四六】ナイフかレザーかどっちが正しい?

車屋四六 コラム・特集

MGの対抗馬だったからトライアンフと云えばスポーツカーと思う人が多いが、四輪メーカーは1923年からで、二輪ともなれば02年からの有名老舗なのである。

戦後乗用車メーカーとして、米国に多くのTRシリーズを輸出、折からのスポーツカーブームの中、MGと覇を争ったりしたことで、スポーツカーメーカーンの印象が育ってしまったのだ。

一方日本では、街を走る小型のツードアサルーンの美しい姿に見惚れてトライアンフを知り、それがメイフラワーという美しい名前であることも知った。

老舗二輪メーカーのトラインアンフR/1923年:単気筒マグネトー点火4バルブ499cc20馬力・手動3MT・車重109kg・最高速度113㎞(4バルブは40年後ホンダの手で熟成

当時、日本の輸入元は東京赤坂溜池30番地・ニュー東京モータースで、メイフラワーより大きな2ℓの4ドアサルーン・リナウンも売っていた。これも美しい姿で、英国人は「30年代のコーチワークのよう」と自慢げに褒めそやしたのを覚えている。

そのころ斬新な量産車の大半は、角が取れた曲面構成のボディーだったが、トライアンフは角が立った、そう英国製ハンドメイドボディーのコーチワークを連想する姿で目立ったのである。

「あれはナイフエッジと呼ぶんだよ」とオーナーの進駐軍将校が教えてくれたが、後年、英国の本には「レザーエッジ」と書いてあり、同じ英語ながら米国と英国では呼び方が違うことを知った。

ちなみにレザーとは床屋が使う剃刀で、安全剃刀登場前は家庭でも使われていた。明治生まれのオヤジは安全剃刀でなくドイツ・ゾリンゲンのレザーだった。母親が時たま使う一本物和剃刀に対し、レザーは二つ折りで、見るからに鋭かった。

いずれにしても、鋭い刃物の切り口からの連想で、この手のスタイリングを、そう呼ぶようになったのである。もっともトライアンフのナイフエッジはサルーンだけだった。ちなみにサルーンは乗用車の呼び方だが、サルーンは英国式、米国はセダン。

WWⅡ後の生産再開で、46年には二座席ロードスターが登場するが、こいつは泥よけ型フェンダーが懐かしい戦前型だったが、本格的ドル稼ぎで登場する52年登場のTR2は、MGとは対照的に斬新だったが、レザーエッジではなかった。
ちなみに、TR2の次世代モデルTR3は第一回日本GPに出場。

トライアンフTR2:当初なかったラジェーターグリルが付いた後期モデル/日本初TV中継代々木体育館の屋内ジムカーナ参加のTR2/カーバッジからSCCJ会員車でエアスクープは後からの物

TR2は、MG-TDより少し高級という位置づけで、輸入元のニュー東京モータースでは、トライアンフの他に、英国スタンダード社のバンガードやエイトも輸入していた。

メイフラワーは、3万4990台生産されたが、この時代としては成功作と云えよう。その諸元は、全長3850㎜、WB2100㎜、直四サイドバルブ1247cc38馬力…同時代のヒルマンミンクス37馬力、オースチンA40の40馬力と較べて、トップレベルの性能だった。

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