スポーティとコンフォートを絶妙なバランスで両立 アウディ・A5スポーツバック 試乗記

試乗レポート

2007年のジュネーブモーターショーでデビューした初代アウディ・A5は、当初クーペモデルのみの展開だったが、09年にカブリオレ、10年に4ドアクーペのスポーツバックを日本に導入。先日フルモデルチェンジされた2代目は、三つのボディタイプが同時に発売され、デザインだけでなく、走行・安全性能も大きく向上を果たしている

今回試乗したスポーツバックは、流麗なボディラインに最大1300L積載可能なラゲージスペースを持ち、初代A5シリーズの購入者およそ8割が選択している中核モデル。〝美しさとスポーティな走りと実用性の融合〟というA5シリーズのテーマを体現する存在だ。

2代目ではホイールベースの延長により、室内長は17㎜、前席ショルダールームは26㎜、前席ヘッドルームは12㎜、後席ニ―ルームは23㎜拡大。後席頭上空間の余裕はシャシーを共有するA4セダンに譲るものの、身長177㎝の筆者が座っても窮屈感は感じさせず、外観から想像する以上の広さを持っている。さらに、足元の広さはセダンと同等で、大人4名の長距離移動も苦にならない居住性を実現しながら、セダンにはないラゲージスペースの利便性の高さは大きな特徴となっている。

  

A5は、S5シリーズを除きすべて直列4気筒2・0Lターボエンジンを搭載するが、試乗車は、ベースグレードから62PS引き上げ252PSの最高出力とフルタイム4WDシステム「クワトロ」を組みあわせた〝ハイパワー仕様〟。発進から中高速域まで自然なフィーリングで加速していくが、四つのドライブモードのうち、デフォルトの「コンフォート」では、アクセルの踏み込みに対する加速レスポンスが若干鈍い。「ダイナミック」モードを選択すると、2・0Lエンジンとは思えないパワフルな走りと俊敏なハンドリングを味わえる。

また、試乗前はスポーツサスペンションを搭載することから硬質的な乗り味だと思われたが、実際に運転してみるとスポーティな一面を持ったコンフォートという印象。ワインディングでは、クワトロがもたらす高い走行安定性、正確なハンドリングや回頭性の高いコーナリングといったダイナミックな走りもこなす。一方で、一般道や高速クルージングなどゆったりと流すような場面では、キャビン内にエンジン音をほぼ伝えない極めて高い静粛性等で、ワンランク上の高級サルーンのような雰囲気を醸し出している。

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