家族で行こう! きままにクルマ旅(2017年4月 紙面掲載)
ダイハツ・ムーヴ キャンバスでドライブ 高崎市街地から郊外へ

レジャー ドライブ

文・写真:吉田直志(automobile columnist)

群馬県高崎市と聞くと、市街地のイメージばかりが思い浮かび、なぜか自然豊かな風景は思い浮かばず。しかし、その歴史をひも解いてみると、2006年に高崎市西側に広がる榛名町と合併し、市街地から自然まで幅広いスタイルを併せ持った都市となった。ちなみに、現在の人口は、群馬県の県庁所在地である前橋市を抜いて、県内トップとなっている。今回の高崎ドライブへのお供に選んだのは、ダイハツ「ムーヴ キャンバス」。市街地走行あり、山道ありとなったが、軽自動車ゆえの不足もありつつ、快適なドライブとなった。

東京都心から群馬県高崎市までの距離は約120kmで、有料・高速道路を利用すると約2時間でたどり着くことができる。ただし、今回巡ったスポットは、高崎市街地から高崎市西側にある榛名山まで、まさに市内を駆け巡るといったルートを選んだが、軽自動車では不足を感じるかなと思いつつ、実際には不足を感じないドライブになった。

「道の駅 くらぶち小栗の里」では、地元産の農産物、地元で採れた野菜や肉などを使ったメニューを提供。建物のセンスあふれるデザインも好印象

まず向かったのは「榛名山」の麓にある「道の駅 くらぶち小栗の里」。ここへのルートは、関越自動車道を高崎ICで下り、30kmほど下道を行くことになる。このルートは、市街地を迂回するように県道から国道に入っていくのだが、意外にも交通量は多い。しかし、やがてクルマの数も少なくなって、山や川といった自然が目に飛び込んでくるようになる。

「おもてなし処小栗」では、温かいメニューであるおきりこみを、冷やしにした「冷たいおきりこみ」として提供(850円)。そのほか、倉渕のこだわりトマトカレー(750円)もオススメ

この道の駅は、14年に改駅されたばかりで、名称に用いられている小栗は、明治時代、権田(現在の倉渕)に隠棲した小栗忠順から採られたものだ。当初、市街地から離れたところにある道の駅ということもあって、その内容にあまり期待をしていなかったのだが、到着してみるとデザインセンスあふれる建物、地元産の農産物を利用した食事処など、その充実した内容に驚きを覚えたほどだった。

続いては「榛名山」を一気に駆け上がる。道幅はかなりタイトで、場所によってはすれ違いに気を遣う場面もあったほどだが、ムーヴ キャンバスはタイトなコーナーで、クルマの姿勢に不安を感じさせるようなこともなく、ベースがしっかりと作り込まれていることを感じた。ただ、かなり傾斜がきつかったこともあってパワー不足を感じる場面もあったのも、また、事実だ。

ロープウェイを利用して山頂まで気軽に登れる「榛名富士」、そのカルデラ湖となる「榛名湖」は、かなり以前に紹介しているが、その景色は大きくは変わっておらず、湖畔の道をトテ馬車が行く風景も、以前同様だった。取材した4月中旬は、東京ではと真冬のような寒気が襲った数日後に夏日が訪れるなど、最高気温のふれ幅が大きかった時。しかし、榛名湖周辺では桜はまだつぼみ状態であり、北風が強かったこともあって、寒々しい風景となっていた。連休明けには木々も芽吹き、新緑の風景が広がっているだろう。

かつてこの地域で盛んだった養蚕の歴史を学ぶことができる「群馬県立日本絹の里」。繭クラフト、手織り、染色などを体験することもできる

続いての目的地へと向かうため、榛名山から一気に下るかのように山道を走った。山麓にある「群馬県立日本絹の里」と「かみつけの里博物館」は、広い敷地を生かしてゆったりと作られていることもあり、里山的なのんびりとした雰囲気が広がっていた。

「かみつけの里博物館」そばには、復元整備された古墳が並び、周囲を散策することもできる

そこから市街地へと戻り、最後にETCスマートICとなる関越自動車道・高崎玉村IC近くにある「群馬県立近代美術館」に立ち寄ることにした。この施設は「群馬県立公園群馬の森」の中にあり、美術館の隣には「群馬県立歴史博物館(現在は展示改修中で7月15日にグランドオープン)」がある。ちなみに高崎駅そばには「高崎市タワー美術館」、「高崎市美術館」など、アートを巡るドライブルートに仕立てることもできる。

歴史公園(約13ha)にある八幡塚古墳。内堤には人や動物のカタチをした埴輪が並べられている

今回のドライブに連れ出したダイハツのムーヴ キャンバスは、当初、女性をイメージしたデザインに対して、どことなく恥ずかしさがあった。しかし、走っているうちにそんな恥ずかしさもどこへやら。さらには骨太に通じるようなしっかり感に驚き、スライドドアの採用で利便性を感じ、いつしか、そのデザインもかわいらしいというよりは、レトロテイストであることを自ら意識するようになっていた。そして、実は、オジサンにも受け入られそう、と最後にはそんなことまで感じていた。といってもカラーリング次第だが……。

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ドライブデータ

試乗車=ダイハツ ムーヴ キャンバス G “メイクアップSA Ⅱ”
パワーユニット=ガソリン660cc、FF、CVT
乗車定員=4名
全行程走行距離約=約320km

立ち寄りスポット[マップコード]

・道の駅 くらぶち小栗の里[295 020 526*05]
・群馬県立日本絹の里[94 554 454*50]
・かみつけの里博物館[94 463 080*00]

※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。

プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。

(本稿は2017年4月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)

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