高い質感・走行性能を高次元で両立 BMW・540i 試乗記

試乗レポート

ボディの軽量化や最新の運転支援技術など、フルモデルチェンジでBMWの最新技術を余すことなく搭載した5シリーズ。先日はディーゼルモデルのインプレションを紹介したが、今回はガソリンモデルのトップグレード「540i」に試乗し、その走りを確かめた。

5シリーズのガソリンモデルには、最大出力・トルクが異なる2種類の2・0L直4ターボと、3・0L直6ターボ(最高出力340PS/最大トルク450Nm)を設定するが、試乗車は後者を搭載する。

3段階ある走行モードのうち、まずはコンフォートで走行。アクセルレスポンスが極めて良好というのが第一印象で、普通の乗用車の感覚でアクセルを踏むと、強烈な加速であっという間に制限速度までボディを引っ張る。スポーツモードにするとさらに強い加速を得られるが、街乗りから高速走行どのシーンにおいてもコンフォートで全く不足は無く、高速を一定の速度で巡航するなら、エコモードでの走行をおすすめしたい。

試乗車はスポーティな味付けのMスポーツだったが、キャビン内に不快な振動やロードノイズはほぼ感じられない。時速100㎞程度の巡航ならば、搭載する8速ATの緻密な制御によってエンジンが1500回転を超えることがなく、静粛性のレベルも非常に高い。一方で、速度を上げると感じられるフラットライドな乗り味や、スポーティで切れ味のあるハンドリングといったBMWのアイデンティティも失われておらず、上級サルーンの質感とスポーティセダンの走りを高次元で両立していた。

また、ルームミラー内に2基のステレオカメラ、ミリ波レーダーを前方に3基、後方に2基装から構成される「ドライビングアシストプラス」では、新たに全車速対応のACC、ステアリングアシスト付きのレーンキープ機能などを搭載。今回は連続するカーブや登坂路など、運転環境の変化に富む中央道を大雨が降る夜間に試乗する機会があったが、前走車や車線を見失うことなく、しっかりと一定の車間距離を保って追従走行を行えた。さらに、前走車に追いついた時の減速制御も不自然さも無かった。

レーンキープは、積極的な介入で〝半自動運転〟を感じさせるものではなく、車線の逸脱をサポートする制御。操作感覚や運転支援の介入の仕方も含めて安心感のあるものになっていた。

試乗の中で意外と重宝したのが、音声によるナビの目的地設定。一般的な音声認識システムだと設定作業が煩雑になりがちだが、試乗車はハンドルのボタンを押して、例えば「東京駅」といえば一発でそれに順ずる候補が順番に列挙され、あとは行きたい先の番号を言うだけ。また、使用した限りでは音声の誤認識もほぼ無く、利便性に優れるものだった。

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