【車屋四六】昔のパワーアップ用品

コラム・特集 車屋四六

“君はもう帰らない”何十年か前の警視庁交通安全ポスター。事故を起こしてからでは遅いぞという教訓である。

この若者(写真左)は、ハリウッドに彗星のように現れて、わずか24才で逝った名優ジェームス・ディーン。彼は、スピード狂でも知られたカーマニアだった。

1955年、注文のポルシェ・スパイダーをディーラーで引き取り出発、そのまま帰らぬ人となった。エースドライバー垂涎(すいぜん)の的だったポルシェ・スパイダーが棺桶になろうとは夢にも思わなかったろう。

20世紀、若者は車に憧れ、スピードに憧れた。そこで古今東西、マニアは少しでもマイカーが速くなるようにと努力する。で、たくさんのチューンナップ用品部品が生まれた。

登場した用品部品は、効果のある物、ない物、気分的満足だけが取り柄だったり、嬉しかったり、がっかりしたり、腹を立てたり、といろいろであった。

生まれつき好奇心満々の私もいろいろと試して、時には間抜けぶりを発揮した。性能面で気に入ったのはハンシンGTコイルや永井の製品、ボンファイアなど。が、いつの世にもある燃費向上商品は、大方はがっかりする物が多かった。

昭和30~40年頃までのエンジン点火システムは、高圧コイル、ブレーカーポイント、ディストリビュータ、高圧コード、点火栓で成り立っていた。

まずダイオードとコンデンサーでポイントの火花焼損を防ぐボンファイアは効果があり、心なしかパワーアップも感じた。更に進化した、ウルトラ回転計で知られる永井電子のトランジスタイグニションも良品だった。

高圧コイルの高性能化で火花強力というのが阪神変圧器のハンシンGTコイル。一次コイルが太く巻数が少ないので発熱量が多く、絶縁と放熱目的でオイル封入型だった。こいつは永井製品と共にレースに使われていたから効果は確かだった。(写真右:サンダーボルト。二次高圧電力強化目的製品だが、私の車では効果無しだった。いっとき一世風靡をしたが一過性で発売元の老舗日本自動車の倒産はこれが原因と噂が流れた)

コイルの高圧出口に帽子のようにかぶせるサンダーボルトは、疑問的商品だが精神安定剤的効果ならOKという商品。昔から高圧コードと点火栓の接続部にギャップを設けると火花が強くなるという習慣があった。好奇心で分解したら同じ原理だったから車によっては効果があったのかもしれない。老舗日本自動車の金をかけた宣伝と口コミで一世(いっせい)風靡(ふうび)の後、倒産してしまった。

また古今東西、続々と新商品が登場するのがエコ商品。燃料タンクに放り込む錠剤、金属などに加え添加剤もある。英国製のレデックスは、吸気系の負圧で特殊オイルを添加するのだが、インパネに付けた流量調節計器が格好良く楽しいので、効果はなかったが楽しい商品だった。

昭和40年頃、添加剤の抜群人気はSTP。給油の度に少量添加すると馬力向上、燃費向上という商品だったが、私の車にはあまり効果はなかった。

日本の自動車時代黎明期である昭和20年代には、この手の商品はもっぱら米国からのものだから高価で一般的ではなかったが、昭和30年代にマイカー時代がはじまると、輸入品と共に国産品が続々と登場して、今日まで尽きることを知らない。

これまでの経験で、燃費向上馬力向上商品で役に立つのはごく僅か、ほとんどは気休め、ハッキリ言えば金をドブに捨てるようなもの。が、気分的満足が得られれば、それで良いとも云える。好奇心満足、楽しみを金で買う、それはそれで良かろう。

が、近頃の仕上げ精度が高い高品質部品やエンジンに、安い用品を取り付ける、また不純物僅少で添加剤混入の高品質ガソリンやオイルに添加剤を加えても、効果の期待は欲ではないかと思うが。

といいながら、最近4500円でシガーライターに差し込むだけで燃費向上、馬力向上という“ネオXXX”を購入。期待通り?効果なし。で、壊した中身は小さなコンデンサーと抵抗だけ。エンジン始動で、緑色LED点灯で節約気分が味わえるのがミソである。

神戸の阪神変圧器製作所のハンシンGTコイル:高回転時に低下する二次電圧を強化安定供給で出力向上を図った製品。レースやラリー車も愛用したから効果が認められた

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