リッターカーにも劣らない走り スズキ・ワゴンR 試乗記

試乗レポート

“3つの顔”で大きく一新された新型ワゴンR。が、変わったのはデザインだけでなく、中身も同様。新開発のプラットフォーム「ハーテクト」を採用し、軽量化と高剛性化を実現。さらに従来の「S-エネチャージ」を進化させた「マイルドハイブリッド」を搭載し、燃費性能も向上している。先進装備もふんだんに採用され、まさに最先端の軽自動車といえるだろう。

今回試乗したのは、スタイリッシュな「ハイブリッドFZ」と、存在感たっぷりのスティングレー「ハイブリッドT」。どちらもマイルドハイブリッドを搭載し、さらにスティングレーはターボも加わる。

ハイブリッドFZ

まず乗り込んで感じたのは室内の広さ。寸法そのものも広いが、今回からセンターメーターを採用したことで正面の視界が開けたことも、広さを感じるポイントだ。膝まわりのスペースもゆとりがあり、足元の窮屈さもない。シートもサイズがたっぷりしており、座り心地、ホールド性も満足できるものだ。そしてエンジンを始動すると、ドライバーの正面には軽自動車初のヘッドアップディスプレイが立ち上がり、速度やシフト位置などが表示される。メーカーオプションのメモリーナビを装着すれば交差点案内も表示。軽自動車にそこまで必要なのか?と思う人もいるとは思うが、視線を外さずに情報が得られるという安心感は、実際に体感してみればすぐに理解できるはずだ。

ユーティリティーの面では、後席ドアに配されたアンブレラホルダーが秀逸。濡れた傘の置き場所には困るものだが、これなら傘を差し込むだけでスマートに収納することができる。傘に付いた水は車外に排出される仕組なので、床がびしょ濡れになる心配もない。トヨタ・ポルテなど登録車ではこれまでにも採用例があったが、スペースの限られる軽自動車ではこれが初。日常の使い勝手を高めてくれるうれしい装備である。

 

続いて走りの実力を確認。まずFZからスタートする。搭載するパワーユニットは最高出力52psのエンジン+最高出力3.1馬力のモーター。実用域に合わせたセッティングで、パワー自体はそれほどではないが、発進から時速60キロあたりまでの滑らかな加速が気持ち良い。アクセルを踏み込むとそれなりに音が大きくなるが、不快というほどではなく、街乗りから高速まで十分こなしてくれる。

全体の乗り味はやや硬め。ただ足回りはコーナーでもよく粘り、接地感が高い。急旋回をしてみても挙動は安定しており、先代からの進化を感じる部分である。ステアリングやブレーキへの反応にクセがないのも、実用車としてオススメできるポイントだ。

スティングレー ハイブリッドT

一方、スティングレーのターボモデルは、最高出力64psのエンジンに3.1psのモーターの組み合わせ。発進時から明確に力強く、厚いトルクで素早く加速。FZに対して遮音材がふんだんに使用されたこともあって、音も静かに爽快な走りを見せる。乗り味そのものはFZと共通するが、走りに余裕がある分、走行ペースを上げて巡航してもゆとりがある。1Lクラスのコンパクトカーと比べても遜色なく、快適なドライブを楽しむことが可能だ。(鞍智誉章)

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