室内空間をブラッシュアップし快適性大幅向上 ホンダ・フリードハイブリッド 試乗

試乗レポート

2016年9月に初のフルモデルチェンジを実施したフリード。2008年に発売した先代フリードの開発キーワード“ちょうどいい”を進化させ、あらゆる用途に応じて思い通りに扱えるコンパクトミニバンを目指して開発された。3列シート車のフリードと2列シート車のフリード+をラインナップし、今回はフリードのハイブリッドEXに試乗した。

フルモデルチェンジといっても、全長が50㎜ほど伸びたくらいでサイズ感はほぼ先代フリードと変わらない。エクステリアデザインもキープコンセプトなので、外観からは先代との明確な違いを見つけにくい。

大きく変わったと感じたのが室内空間だ。1列目から3列目のヒップポイント間距離を90㎜拡大したことで、大人3人が各列に座っても十分なスペースを備えている。また、2列目シートのロングスライド幅は120㎜延長し360㎜を実現。後方いっぱいまでシートをスライドさせ、背もたれをリクライニングすれば足を伸ばしてくつろげる快適なスペースを確保できる。

また、室内はウォークスルーを採用しているため、席の移動がスムーズに行なえるのもポイント。ここも先代と比べ、1列目のセンターウォークスルー幅を50㎜、2列目で25㎜拡大。手荷物を置くスペースとしても活用でき、ミニバンとしての使い勝手を高めている。

ユーザーがミニバンを選ぶ基準として、上位にランクインするのが荷室の使い心地だろう。テールゲートを開くと、大きな箱をくり抜いたような空間が姿を見せる。3列目シートを跳ね上げて、格納すると広々とした荷室空間があり、荷物の量に応じて2列目シートを前方にスライドさせることで応用も可能だ。最低地上高は135㎜なので荷物の積み下ろしも楽に行なえそうだ。

 

気になる乗り心地は、ヒップポイントが高いことに加え、先代よりフロントウィンドウの面積が拡大した恩恵で良好な視界を確保。さらに、Aピラーが細く右左折時に死角となる部分が少ないのも嬉しいポイント。やや硬めのキャプテンシートは、ロングドライブでも楽に過ごすことができそうだ。

搭載しているエンジンは、最高出力110PS/最大トルク134Nmを発揮するアトキンソンサイクルの1・5LDOHC。これに電気モーターの29・5PS/160Nmが加わる。ハイブリッドシステム自体はフィットと基本的に同じだが、モーターに内蔵される7速デュアルクラッチトランスミッションは、多人数乗車用にセッティングされ、走りと低燃費のバランスを実現したという。

走り出しは、モーターのみのEV走行なので静かにスッと前に出る。スタートから最大トルクを発揮する電気モーターのおかげで、出だしから軽快な加速を見せた。中速域から高速域にかけて、トルクが落ち込むことはなくストレスフリーで運転できる。

足回りはしなやかでフラットな乗り心地。先代と比べボディのねじり剛性を22%アップさせたほか、高剛性リヤサスペンションや液封コンプライアンスブッシュを採用したことで、走行中の安定感が増し、より安心感のある乗り心地を実現している。

大人数の乗車や大量の荷物の積み込みなど、ファミリー層に人気のミニバンだが、5ナンバーサイズでミニバンの機能を十分に備え、運転のしやすい車をお探しの方は、ぜひフリードの試乗をおススメする。

Tagged