日常で扱いやすいファミリーのための1台 ダイハツ・トール 試乗記

試乗レポート

ここ数年、軽自動車市場の中でも人気を集めているのがN-BOXやタント、スペーシアなど背の高い「スーパーハイト系」と呼ばれるモデルだ。広い室内空間を持ちながら取り回しやすく、子育てママからファミリーユースまで、1台でこなせるところがその人気の理由といえるだろう。

ただ、軽自動車ではさすがに動力面での余裕はあまりなく、また4人までしか乗車することができない。そこで軽自動車の枠を超えて、もう少し余裕を、ということになるが、そうなると今度は一気に1.5Lクラスとなってしまう。そこまでは不要だ。

そんな声に応えるように登場したのが「トール」である。コンパクトな背高ボディに1Lエンジンを搭載し、軽自動車同等の取り回し性とゆとりある室内空間を実現したという。ちなみにキャッチフレーズは「子育てファミリーの日常にジャストフィットするコンパクトファーストカー」。何でもこなせるマルチな1台というわけだ。

実際に乗り込んで、まず感じるのが使い勝手の良さだ。特にインパネ周りの豊富な収納や、閉じた状態でも荷物をかけられるシートバックテーブルなど、細かな工夫やアイデアはさすが軽自動車で鍛えられてきたダイハツならではといえるだろう。またインパネのナビスペースが広く、9インチナビがスッキリと収まるのもうれしいポイントである。

 

 運転席はヒップポイントがやや高く、乗り込みしやすいと同時に見晴らしが良い。インパネ上部にはマルチインフォメーションディスプレイが備えられており、クルマの情報がわかりやすいのも特筆できるだろう。

もちろん両側スライドドアを備えるだけに、後席への乗り込みもラクラク。足元空間も広く、スペースに不満はない。ただ後席シートは座り心地がかなり硬く、ここはちょっと気になるところだ。

走りに関しては必要十分といったところ。まず最高出力69psの1L・NAエンジンは、車両重量約1100㎏とやや重たいボディであることを考えるとスペック的には不安になるが、実際に走らせてみると意外なほどスムーズ。特に時速60キロくらいまでの低中速域での加速は滑らかで、通勤や買い物など日常の中で不満を感じることはないだろう。気になる音や振動がないのも好印象だ。

 

ただ、高速道路や急坂を走るには、やはりターボを選びたい。1.5Lクラス相当のトルクを発揮するというだけあり、発進から力強い加速感が味わえる。全域でややエンジン音が大きい点は気になるが、クラスを考えれば十分許容範囲といえるだろう。

全体の乗り味は街乗り重視のセッティング。足回りはややマイルドで、コーナーではそれなりにロールも出る。ステアリングへの反応も穏やかなのでスポーティな走りは苦手だが、反面、神経質なところがないので、日常域では非常に扱いやすい。安心して運転できる、まさにファミリーのための1台だ。(鞍智誉章)

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