シーンを選ばない小気味良い走り DS4クロスバック試乗記

試乗レポート

クーペスタイルに、SUVとセダンを融合させたスタイリングが特徴のDS4。その派生モデルとして4月に登場したDS4クロスバックは、DS4から車高を30㎜引き上げ、ホイールアーチやグレーのルーフバーなどを装備し、SUVテイストの強いクロスオーバーモデルに仕上げられた。

 

 力強いエクステリアの一方で、インテリアは黒を基調に落ち着いた雰囲気を放つ。その中に、クロームメッキを施したコックピットの3連メーターや足元に配されたアルミペダルなどが、スポーティな印象を巧みに演出している。

 

 シトロエンブランドから独立を果たしたDSだが、シトロエンの十八番とも言える頭上まで広がるパノラミックフロントウィンドウは健在。30㎜引き上げられた車高と相まって前方視界も良好で、開放感は特筆すべきポイントだ。軽自動車からミニバンまで開放感を謳うモデルは多いが、ここまでのものはなかなか無いので、ぜひ試乗してチェックしてほしい。

パワートレーンは1・6Lターボ(最高出力165PS/最大トルク240Nm)に、6速ATの組み合わせはフラッグシップモデルのDS5と同じで、低回転からしっかりとトルクを感じられる特性もほぼ変わらない。踏み始めの反応が鈍く、ちょっと踏み込むと急に効き出す感じのブレーキと重めのステアリングフィールが気になる一方で、軽快感や速度を上げると感じられるフラットライド感は、クロスバックの方が高いと感じられた。必要にして十分なパワーを持つエンジンと小気味よい走りは、街乗りからワインディングまでシーンを選ぶことなくドライブを楽しめる要素が十分に詰まっている。

実用面で注目したいポイントのひとつは車高だ。時代の潮流に乗って、ここ数年で国産車・輸入車問わず、多くのクロスオーバーモデルが発売されてきたが、都市部でクロスオーバーモデルの購入を考えているユーザーにとって、立体駐車場に入庫可能か否かで選択するクルマは変わってくるだろう。その中でも、概ねの立体駐車場に入庫可能な1530㎜というクロスバックの車高は、大きなアドバンテージになる。

 

 また、全長4285㎜、全幅1810㎜という扱いやすいサイズながら、後席でのゆとりのあるスペースと370Lのラゲージルームを確保。さらに、後席の背もたれは6:4の分割可等式なので、実用性が高いのも好印象だ。

シーンを選ばない走行性能と実用性など、クロスオーバーモデルに求められる要素を高いレベルで実現したDS4クロスバック。独創的な世界観を味わえるDSの入門モデルとして最適な1台と言えるだろう。

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