【車屋四六】三菱ミラージュ

コラム・特集 車屋四六

いまや日本はラーメン天国。○○ラーメン・××ラーメンなど、ブランドラーメンが店を連ねる時代だが、はるか昔“手首ラーメン”というのが話題になったことがある。

荒川界隈の昔風支那蕎麦屋台で、話題はそのスープ。
スープを作る鍋から、人間の手首発見が事の発端。
暴力団員が殺した兄貴分の死体をバラし、山中に埋めた迄は良かったが、指の指紋で足が付くのを恐れて、仲間が曳く屋台の鍋に投入、仲間は知らずに煮込んでしまったという話し。

手首ラーメンが連日のテレビ新聞報道で話題の78年、かねてから話題の三菱製小型車、ミラージュが登場した。
ミラージュが注目されたのは、当時常識の日本的レイアウトを無視した車造り、それはヨーロッパ的コストパフォーマンス優先で開発されていたからである。
新規登場のミラージュは、ツードアハッチバックの小柄に見える姿とは裏腹に、驚く広さのキャビンが話題となった。
が、シンプルな姿のわりには車重が重い。原因は、今なら当たり前のボディー剛性強化に真面目に取り組んだせいだった。

愛想のない姿は日本のユーザー好みではなかったが、走ってみれば確かなハンドリングで、ボディー剛性の高さが体感できた。
興味の中心は、スーパーシフトと名乗る独特斬新なシフト方式。フロアから二本のシフトレバーが生えて、長い方は通常の四速、短い方が副変速機。それで変速比1.181のエコノミーと1.526のパワーレンジを使い分けることができる仕掛けになっていた。

ミラージュのコクピット:シフトレバーは長い方が通常四速、短いのが副変速機用

見方によっては八速型変速機。上手に使えば、加速良し燃費良しということになるのだが「わずらわしい」と面倒がる人も居た。

エンジンは53年排気ガス規制クリアのMCA-JETオリオン型。1200cc/72馬力と1400cc/82馬力の二本立て(1400GL\92.2万円)。

78年フォードアバージョン登場。ホイールベースが伸びて、キャビンの広さは驚異的広さになる「こいつはフランス的発想だね」と専門家の誰かが云っていた。

82年のマイナーチェンジで、ミラージュⅡに進化する。
わたしの愛機が駐機する調布空港で撮ったミラージュⅡは、サターンG32B-G型ターボ搭載のツードアハッチバック1600GSRターボで¥144万円。(フォードアGSRターボも存在)

後から追加登場の4ドアバージョン:室内の広さが驚異的。背景は昔の羽田空港ビルと管制塔

ちなみにツードアGSRターボの諸元は、全長4005㎜、全幅1635㎜、全高1360㎜、車重880kg。
G32B-Gターボは、直四OHC・1597cc/120馬力・5MT・前輪ディスクブレーキ・タイヤ175/70SR13。

82年、ミラージュⅡが登場した頃、TVに驚異的長寿番組“タモリの“笑っていいとも”が登場、その傍らラジオのディスクジョッキーでは草分け、20年も続いた“意地悪ジョッキー”が終了。
べらんめえ口調で喋りまくる変な外人司会者、ロイジェームスが肺炎で死去、53歳という若さだった。

この年、中央自動車道全通。大宮盛岡間東北新幹線開業、大宮新潟間上越新幹線開業、地下鉄半蔵門線開業、そして国鉄有人リニアカーの走行実験成功などが、交通関係話題の年だった。