スズキ、新型「バレーノ」試乗 新たに開発したBセグメント用のプラットフォームを初搭載

試乗レポート

スズキが3月9日に発表したBセグメントの新型「バレーノ」は、最新の設備を揃えたインドのマネサール工場で生産し、グローバルに展開する世界戦略車。スズキ初の逆輸入車となる。Bセグメント用に新開発されたプラットフォームを初搭載し、1・2ℓNAのXGと新開発の1・0ℓ直噴ターボを搭載したXT(写真上)の2モデルをラインナップしている。全長3995㎜、全幅1745㎜、全高1470㎜と、Bセグメントの中ではワイドなボディを持ち、シンプルなフロントマスクとは裏腹に大きく傾斜をつけたCピラーとルーフエンドスポイラーを装着したスポーティなリヤスタイルが特徴的だ。

まずはXGに試乗、1・2ℓ直列4気筒NAにCVTを組み合わせ、最高出力91PS、最大トルク118Nmを発揮する。溢れるようなトルク感はないが、街乗りには充分なトルクでストレスを感じることなくステアリングを握れる。小型車にしてはステアリングの操舵感は少し重めで走行中に細かな修正舵を必要とせず、直進安定性に優れていた。

その安定感を生み出す要因の一つがBセグメント用に開発された新プラットフォームだ。スポーティな走りや高速巡航性を重視し、剛性を高めたほか車両全域にわたって軽量化を図りXGは車両重量910㎏(XTは950㎏)を実現している。

(1・2ℓ直列4気筒NAエンジン搭載 XGモデル)

 さて、気になる乗り味は、全体的にフラットで落ち着きがある。プラットフォームに合わせ新設計された足回りは、しなやかに動き山道の曲がりくねったコーナリングでも、リヤタイヤの接地性が高くフラットな乗り心地を維持していた。アクセルを踏込みとNAらしい直線的な吹き上がりが加減速のタイミングを計りやすく、幅広いユーザーに親しまれるドライブフィーリングだ。

一方、XTはXGと良い意味で大きく違っている。シンプルなフロントマスクは、ディスチャージヘッドランプやフォグランプを装着し、引き締まった顔つきに変化。インテリアもインパネ下部に丸型液晶を中央に配したエアコンパネルや、メッキ加飾を加えるなど質感を高めている。中でも特徴的なのは、メーター中央に搭載したマルチインフォメーションディスプレイ。走行中のパワーやトルク、車両にかかる重力加速度をリアルタイムで表示してくれるので、ドライバーを楽しませてくれるだろう。

 

(XTのインテリアと、マルチインフォメーションディスプレイを中央に配置した専用メーター)

XTはプラットフォームや足回りはXGと同一だが、最高出力111PS、最大トルク160Nmを発揮する1・0ℓ直列3気筒ターボに6速ATを組合せ、スポーティな走りを可能にした。

走りはじめからスムーズな加速力をみせ、アクセルワークに応じて自然にトルクが放出される。XGと比べ、軽快な加速力と力強さは当然備わっているがフラットで安定感のある乗り心地は変わらず、6速ATを採用したことでダイレクトなシフトレスポンスが味わえる。ターボエンジンを搭載しているが、トルクの出力はいたってナチュラルでNAエンジンに近い印象を受けた。動力性能をNAエンジンに当てはめると1・6ℓクラス、高速走行や登坂時などで重たく感じることはなく、ロングドライブも快適にこなせるだろう。

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