排気量以上に力強さを感じさせる走り 三菱・ミラージュ 試乗記

試乗レポート

2012年から発売されている6代目ミラージュは、低燃費・コンパクト・低価格を基本コンセプトに、先進国では環境対応車、新興国ではエントリーカーという位置づけで開発。日本に供給されるものを含めすべてタイの工場で生産され、90カ国以上で販売される三菱の世界戦略車となっている。

そのミラージュが昨年末にマイナーチェンジを受け、これまで3気筒の1・0㍑と1・2㍑という2種類だったエンジンは、1・2㍑のみとなった。また、内外装の意匠をブラッシュアップし質感を向上とともにスポーティなイメージにスタイルを一新。さらに、足回りのセッティングを見直したことで乗り心地を高めるとともに、衝突軽減ブレーキなどの安全装備も標準化された。

エクステリアデザインの変化が一目瞭然だ。従来、フロントマスクはグリルレスのシンプルでおとなしいものだったが、クロームメで縁取られたメッシュグリルやロアグリルのクロームバーが与えられ、スポーティな顔つきに一新している。前後コンビランプのLED化、ブラック塗装アルミホイールの標準装備などにより上質感高めている。

インテリアでは、インパネのセンタークラスター部分がピアノブラック化され、オートエアコンの操作部周辺などはシンプルでありながら落ち着いた雰囲気を醸し出している。後席は分割可倒式。背もたれを前に倒すことでフラットなラゲージスペースが出現し、利便性・積載性を向上させている点も好印象だ。

最高出力78PS、最大トルク100Nmを発揮する1・2㍑エンジンは、その排気量以上に低速域での力強さが印象的で、街中での加速にはまったく物足りなさは感じない。街中での移動やたまに郊外まで足を伸ばすといった使い方であれば、5名乗員でも力不足を感じることはなさそう。1・2㍑エンジンに一本化したことで、価格帯の近い軽自動車との差別化を図るという点でもミラージュのキャラクターを明確にしている。

また、サスペンションの取り付け部の剛性向上、前後ショックアブソーバーの減衰力とリヤスプリングの硬さも見直されたことで、乗り心地は落ち着きを増した印象。コーナーではそれなりにロールが出るものの、出方が自然なので不安を覚えることもない。加えて、電動パワーステアリングのチューニングも変更され、操舵感も素直で、誰にでも扱いやすいというコンパクトカーに求められる資質を備えている。

予防安全装備では、従来モデルにはなかった時速30㎞以下の速度域で作動する衝突被害軽減ブレーキや、10㎞以下の速度域で作動する誤発進抑制制御機構など、赤外線レーザーを用いた先進安全技術を全車標準採用。この内容でエントリーグレードが138万240円という価格設定は、魅力のひとつと言えるだろう。

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