家族で行こう! きままにクルマ旅(2015年5月 紙面掲載)
スズキ アルトで探る 秩父のランドマーク武甲山

レジャー ドライブ

文・写真:吉田直志(automobile columnist)

ドライブスポットとしてお馴染みの埼玉県・秩父を訪れると、誰しもが、どうしてあんな姿なのだろうと、不思議に思う山、武甲山(ぶこうさん)を目にする。明らかに人の手によって削られた跡があるとはいえ、それは山頂から山腹にまで広がり、あまりにも広大だ。実は、この武甲山の削られた姿は、セメントの材料である石灰岩と関係があるらしい。ということで、今回は、そんな武甲山の謎を解くべく、スズキ「アルト」で出かけることにした。

個性的なフロントフェイスは、クールさと愛くるしさを上手くバランス。15インチアルミホイールはXに標準装備される

今回訪れたのは秩父地域の中でも、武甲山の麓に広がる横瀬町だ。秩父へのアクセスは、圏央道を利用して、狭山日高ICで下りて、国道299号線を走ることで、かつての、“ちょっと遠い”から“わりと近い”スポットへと変わった。ご存知のとおり圏央道は、現在、神奈川県湘南地域と接続していることから、湘南からのアクセスもイージーになっている。

高速道路を下りてから走る国道299号線は緩やかコーナーが続くワインディング路で、自然豊かな景色を楽しみながらドライブできるルートだ。今回のドライブの相棒はアルト。ワインディング、アルトとくれば、ターボエンジンを搭載したRSをイメージするかもしれないが、今回の相棒は、NAエンジンを採用したモデルのほう。山道を走るのは大変だっただろうと思われるかもしれないが、高速道路はもちろん、ワインディングルートも軽快に走り、不足を感じるシーンはまったくなかった。

「道の駅 果樹公園あしがくぼ」。地元産農産物や加工品、横瀬町産の紅茶で作られたソフトクリームもオススメ/併設のうどん・そば専門店の名物メニューのひとつ、ずりあげうどん(500円)+生卵(50円)。おわんに出汁醤油や薬味を入れて、好みの味付けをして食べる。写真は間違えて薬味を入れてしまったの図

目的地の横瀬町は、国道299号線と国道140号線が交差する秩父市の手前にある町だ。まず、訪れたのは「道の駅 果樹公園あしがくぼ」。全国どこの道の駅も人気スポットとなっているが、ここはその中でも特に人気があるようで、農産物や土産物売り場はもちろん、手打ちうどん・そばといった名物を食べられる店舗も手伝って、多くの人で賑わっていた。その北側にある「横瀬町農村公園」へ向かう道沿いには、果樹園が多くある。実は、道の駅の名称に果樹と使われているように、この辺りは果樹園が点在しており、果樹公園村とも呼ばれている。取材時は丁度イチゴが終わったばかりだったが、夏にかけて、プラムやぶどう、そして、秋にはりんごなどを味わえるという。その中にある「横瀬町農村公園」は、豊かな自然と、その地形を活かした公園で、これからはアジサイが咲き、そして初夏になるとホタルが見られるという。

道の駅から山道を進んだ先にある「横瀬町農村公園」。園内には川が流れ、これからの季節はアジサイが花を咲かせるという。100mのローラーすべり台もある

武甲山は横瀬町内のあちこちから眺めることができる。先の「横瀬町農村公園」からも見えるが、その姿をよりはっきりと見えるのが「寺坂棚田」。ダイナミックな武甲山を向こうに、手前にのどかな棚田が広がるという風景は、個人的には、秩父でイチオシといってもいいほど。これからの季節はホタルが舞い、秋には彼岸花まつりが開催されるなど、季節に応じてその風情を楽しめることも、この棚田のポイント。

埼玉県内では最大級となる棚田の「寺坂棚田」。向こうに見えるのは武甲山。毎年7月上旬には寺坂棚田ホタルかがり火まつりが開催されている

武甲山について調べるために、棚田近くにある「横瀬町歴史民俗資料館」、そして、横瀬町ではなく秩父市となる「武甲山資料館」へと足を運んだ。そこで分かったのは、武甲山には国内でも屈指の石灰岩の大鉱床が広がっており、その採掘によって、現在の姿になったということだった。そして、現在でも採掘は続いており、姿を変えているという。

さて、今回の相棒、アルトは、走りに不足がなかったことだけではなく、燃費に優れていたことも付け加えておきたい。峠越えをしつつ、さらには取材という悪条件ながら、33.7km/Lを記録。ちなみに高速道路では条件によっては40.0km/Lを超えていたほど。走りから燃費、そして装備、さらには値段まで、不満は見当たらず。RSもいいけど、このレギュラーモデルはもっといいかも、とそんなことを感じたドライブだった。

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ドライブデータ

試乗車=スズキ アルト X(ミディアムグレー2トーンバックドア仕様車・2WD)
パワーユニット=エンジン排気量658cc、CVT、FF
乗車定員=4名
全行程走行距離=約280km

立ち寄りスポット[マップコード]

・道の駅 果樹公園あしがくぼ[91 481 769*00]
・横瀬町農村公園[91 511 526*65]
・寺坂棚田[150 253 428*58]

※「マップコード」および「MAP CODE」は、株式会社デンソーの登録商標です。
※ナビの機種によっては、高分解能マップコードに対応していない場合があります。

プロフィール
吉田直志/automobile columnist
四輪駆動車専門誌、デジタルカルチャー誌の編集部を経て、フリーライターに。現在は新型モデルの評価を軸に、自動車雑誌のほか、ファッション誌にも寄稿。

(本稿は2015年5月に新聞「週刊Car&レジャー」に掲載)

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