3列シートを備えた乗用ミニバン「ジェイド」試乗記

試乗レポート

コンパクトかつスタイリッシュなスタイルの中に、3列シートを備えた乗用ミニバンがジェイド。ストリームの後継モデルといえるが、それだけではなく先代オデッセイユーザーの受け皿という役割も担っており、従来ストリームから見るとクラス的には若干上のポジションになるモデルだ。

それだけにジェイドの内容は充実している。特に質感は大きく向上した部分。インテリアのデザインや触感、走りの滑らかさなど、先代オデッセイユーザーでも満足できる仕上がりだ。最近のホンダ車のインパネ周りは立体的な造形と情報のアピールでにぎやかなものが多いが、ジェイドは比較的シンプルにまとめられており、これも好印象である。ただ運転席まわりの収納スペースがあまりないのは、いささか不便。センターコンソールにバッテリーなどを収めていることもあって、ドライバーが自由に使えるスペースは限られている。

搭載するパワーユニットは、ヴェゼルHVと同じ1.5Lエンジン+モーター内蔵7速DCTの組み合わせ。当初はホンダとしてもかなり手こずったユニットだが、熟成が進んだことで、走行中に感じる違和感はなし。変速もスムースで心地よい走りだ。またシステム全体のパワーとしては2Lのガソリン車と同等のパワーを備えているので、加速感でも文句はない。むしろ低速域ではこちらの方がレスポンスが良く、キビキビとした走りを楽しむのに最適なものといえるだろう。


コーナーリングの際のロールもよく抑えられており、重心高の低い乗用ミニバンならではの運転感覚。セダンライクな乗り味だ。これはコンセプトを大きく変更した現行オデッセイからは失われてしまった部分だから、乗用ミニバンならではの乗り味に魅力を感じていた先代オデッセイユーザーでも納得できるはずだ。

ただ3列シートを備えたミニバンとして見た場合、やはり絶対的な広さは不足している感はある。3列目のシートは乗り込むのも一苦労で、膝周り、頭上空間とも余裕がない。あくまでエマージェンシーシートとして割り切った方がいいだろう。ミニバンとして捉えるよりも、イザというときは3列目も使えるワゴン、と考えた方が良い。そうなればジェイドの特等席は2列目シートである。スライド量が大きく、広大なスペースを創り出すことも可能だ。ちょっとプレミアムなコンパクトワゴンと捉えれば、大いに満足できるモデルである。

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