低燃費・コンパクト・低価格を基本コンセプトに造られた「ミラージュ」試乗

試乗レポート

ミラージュは、低燃費・コンパクト・低価格を基本コンセプトに、先進国では環境対応車、新興国ではエントリーカーという位置付けで開発されたモデルだ。タイで生産され、国内では12年夏に発売を開始。当時ガソリン登録車ではトップとなるJC08モード27.2km/Lの数値は話題となった。この数値はその後トヨタ・パッソ(27.6km/L)に抜かれたものの、現在でも依然としてトップクラスである。

このミラージュに昨年末、1.2Lエンジン搭載車が追加された。もう少し正確に言うと、これまで1Lエンジンを搭載していた最上級グレード「G」のエンジンが換装されたということになる。これまでミラージュは全車1Lエンジンのみで、装備差だけでグレードを分けていたが、今回のエンジン換装でその違いが少し広がることとなった。

搭載された1.2Lエンジンは、最高出力78psを発揮する3気筒MIVECエンジンで、海外市場向けのミラージュには既に搭載されていたものだ。アイドリングストップ機能の「オートストップ&ゴー」も搭載されており、JC08モード燃費は25km/Lとなっている。

エンジンの基本的な性格は、従来の1Lエンジンをベースに排気量を拡大したものだけにほぼ同等といってよく、マイルドで扱いやすい。ただ燃費重視の1Lよりも、パワーに余裕がある分、少し走行性能寄りになったとはいえる。排気量の拡大に加えてロングストローク化されたことで全域でのトルクが向上し、特に1Lで感じた発進時のトルク感の薄さが解消、よりスムーズな走りとなったのが好印象だ。アイドリングストップからの復帰も静かで早く、街乗りで不満に感じるところはない。

また足回りはフロントにスタビライザーが装着され、加えてタイヤも15インチに大径化。1L車はやや張りのある乗り味で、路面によってはドタバタする傾向があったが、この1.2Lでは落ち着きが増し、乗り心地は大きく改善されている。コーナーではロールがそれなりに出るものの、出方が自然なので不安もなく、安心感が高い。

ステアリングやアクセル、ブレーキなど操作系への反応も好印象だ。市街地向けのセッティングで過敏さはなく、扱いやすさは1Lと同様である。もちろん各スイッチ類の操作のしやすさや運転席からの視界の広さ、シートの座り心地といったところは、従来の1L車同様。車両感覚の掴みやすさも含めて、意識することなくごく自然に運転でき、誰でも扱いやすいというベーシックなコンパクトカーとしての基本がきっちりと抑えられた良モデルといえるだろう。1L車でも満足感が高いが、3人以上で移動することが多いユーザーや、郊外の流れのよい道路を走行する機会の多いユーザーなら、1.2Lがおすすめだ。(鞍智誉章)

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